2023年9月

本レポートは、CCCMKHDがT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
 

“健康”の活用が食市場の転換要素に
 食品スーパー、ドラッグストアを中心に乳酸菌飲料の好調が続いています。新型コロナウイルス感染症拡大以降、体質改善や免疫力アップといった視点で乳酸菌飲料に対する需要が底上げされた傾向にありますが、昨年の「Y1000」のヒット以降、睡眠の質向上や免疫ケアなどの機能を明確にした商品の投下が相次ぎ、市場はさらに拡大する動きとなっています。以前は、乳酸菌飲料は子供の飲用を中心にファミリー需要が主体であったが、近年は機能を明確に打ち出し、大人の個人需要を軸に拡大する傾向になっています。
 ヨーグルトや乳酸菌飲料は「健康」につながる商品としてデイリーな需要を引き出すことに成功してしますが、一般に食のフィールドにおいては「健康」は「おいしさ」につながるイメージが薄く、「健康」を前面に打ち出すと売れない傾向が根強いと言われてきました。
 しかし、近年は「健康」を打ち出した商品の動きが明らかに勢いを増してきています。コンビニエンスストアやドラッグストアを軸に利用拡大が続いている「プロテインバー」もその代表とも言えるアイテムで、同市場もコロナ禍以降、利用年齢層が拡大し、市場拡大傾向にあります。プロテイン=たんぱく質は様々な食ジャンルで注目される健康要素となっており、プロテイン飲料、たんぱく質を前面に打ち出した外食店やたんぱく質摂取を訴求したサラダなどのメニューの拡大と領域拡大が確実に進んでいます。
 食によるたんぱく質摂取の動きは商品開発の世界にも波及し、大豆ミートや代替肉の商品開発を活発化させる動きにもつながっています。これらの商品もヘルシーに取得可能なたんぱく質として認知・理解が進んでおり、スーパーマーケットや外食店で関連品のラインナップが拡充してきています。インバウンド需要の拡大を受け、外食店ではビーガン対応の動きとも相まって大豆ミートの利用が広がっていますが、国内の利用者も確実に増加してきており、今後の対応本格化が予想されるところです。
 食を通じての健康は古くから言われていますが、そのトーンは大きく変化してきています。従来は食べた結果、副次的に健康になるといった商品が人気を集めていましたが、近年は何らかの健康目的を実現するための食品摂取に転換してきており、明確なメッセージがより重要性を増していると言えそうです。
 食物繊維やたんぱく質などが食品においては購買連動しやすい成分であると言われてきましたが、鉄分やカルシウムなど、従来から根強いニーズを持つ成分も活用可能性の高いものと言えます。高齢化が一段と進んでいる国内においては健康寿命の重要性が増していますが、健康寿命の実現に食の果たす役割は極めて大きく今後は関連市場の拡大が予想されます。人口減が確実視される中で、「健康」は食市場を維持していく上で重要なアプローチの一つとなっていきそうです。






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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


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CCCマーケティング総合研究所
担当:奥田