2022年8月

本レポートは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

内食の本格化・簡便化で拡大するスパイス
 流動が活発化し、外食利用が増加基調にあります。コロナ禍以降好調な動きを示してきたファストフードだけでなく苦戦が続いているファミリーレストラン、パブ/居酒屋もコロナ禍前にはまだ程遠い状況にあるものの全国的に上昇傾向となっています。一方、徐々に「内食疲れ」の動きが出始めているスーパーマーケットの利用は夏の高温が調理を敬遠する動きにもつながり、減速傾向が顕著になってきました。
 コロナ禍以降、好調に推移してきた内食需要ですが、この間、調理機器の多様化、専門調理機の利用が広がりました。プロの世界では利用が一般化しているスチームコンベクションオーブンや低温調理機なども利用が拡大し、家庭内での調理がより“本格化”してきている状況がうかがわれます。
 この本格化の流れを受けて好調な動きを見せているのが「調味料」「香辛料」です。利用拡大の動きに敏感に反応したスーパーマーケットチェーンでは、「調味料」や「香辛料」の売り場を拡大し、生鮮三品の利用をさらに引き出すことに成功している企業もあります。調味料の世界ではソースや醤油といった定番品もコロナ禍直後は利用が拡大しましたが、内食需要が拡大するにつれ、多様な調味料に利用が分散される動きとなっています。そんな中で堅調に利用拡大してきたのが「出汁」です。「出汁」は価格の幅が拡大する傾向が顕著で高級出汁の利用は全国的な広がりを見せています。「出汁」の市場拡大は様々なところで波及していますが、外食店のメニューでも「出汁」を訴求するものが増加して注目されます。また、ユニークなところではお菓子の市場においても「出汁」のフレーバーが様々な形で商品化されていて、出汁市場の拡大に一役買っています。
 「出汁」と同様に好調な動きを示しているのが「シーズニングスパイス」です。シーズニングスパイスは海外ブランドが主体でしたが、最近は国内メーカーの「シーズニングスパイス」が好調な動きを示し、前年比で300%以上の伸びとなっている商品も出てきています。「シーズニングスパイス」に代表される香辛料は、生鮮三品の売り上げとも相乗効果が見られ、コロナ禍以降の内食需要拡大を好機ととらえ、売り場転換を進めたスーパーマーケットでは全国的に内食疲れの動きが広がる中で比も較的安定した集客につながっているようです。香辛料は基本的に複数アイテムに利用が広がる傾向が強く、家庭内での香辛料拡充はさらなる生鮮三品需要の刺激となっているケースが多く、スーパーマーケットにとっては売り上げ拡大につながる隠れた重要アイテムとなりつつあります。
 フードトレンドの転換に敏感なコンビニエンスストアでは、すでにシーズニングスパイスや出汁に注目した商品を惣菜・米飯メニューに投下し、市場の拡大を利用する動きを見せています。内食疲れが広がり、全体の売り上げがやや鈍化してきている中でスーパーマーケットがどのような売り場改善を図っていくか、どんな売り場の強化に向かうのか、今後の動きが注目されます。

出汁 シーズニングスパイス 産業動向 香辛料 調味料

※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所
担当:杉浦・斎藤