働き方に多様性を求めるUnder30
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児や介護との両立など、働く人のニーズの多様化にあわせて、厚生労働省は「働き方改革」を推進しています。生活者にとっては、自身の状況に合わせた形で仕事をする事が可能になる環境が増えることは大変喜ばしいことではないでしょうか。
一方、日本型雇用制度の根幹と言われていた終身雇用の維持が難しいと発言する大手の企業が現れたり、ジョブ型雇用といった企業があらかじめ定義した職務内容(ジョブ)に基づいたスキルの人材を採用する雇用形態も最近は見受けられます。コロナ禍では、在宅勤務といった新しい働き方の形も多くの人々に認知され、取り入れられました。いま、日本は働くことに対する価値観が変化している段階にあるように見受けられます。
CCCマーケティング総合研究所では、生活価値観や購買に関する意識調査を実施し、世代や年代ごとの意識の把握に努めています。今回は、2022年6月に実施した調査よりUnder30(16~29歳の未婚の男女)を学齢別(高校生・大学生・会社員等23~26歳・会社員等27~29歳)の軸に分けて「働くこと」に関する意識や価値観を見ていきたいと思います。
学生の「就職・仕事」に対する期待値が低下
まずは、将来に対する意識から「就職・仕事」についてみていきましょう。楽しみ・期待しているかという問いに対し「あてはまる」+「ややあてはまる」と回答した合計の値を21年度(FY21)と22年度(FY22)を比較しています。
学生(高校生・大学生)の男女ともに、今年度は、数字の落ち込みが大きい事がわかります。これは、同時に調査をした「世の中」「収入」に対する意識も同様に学生は前年度から数値が落ちている事からも、生活全般において未来に対する期待が持ちにくい状況にあるようです。
※「世の中」「収入」についての資料は、ダウンロード資料に掲載しています。
【図1】
いまの生活に満足度が高い学生たち
続いて、生活価値観の中でも、収入・お金・社会との関りに関する項目を中心に見ていきたいと思います。
学生(高校生・大学生)は、「今の生活に満足している」の回答がほぼ5割以上あり、23歳以上の有職者と比べると今の生活に満足していることが分かります。
続いて、お金について見ていきましょう。各学齢の7割以上が「幸せになるためにはお金が必要だ」と回答しており、お金の必要性を感じているようですが、一方で「収入が少なくても自分が好きなことをできている方が幸せだ」の回答が大学生の男女ともに5割を超えています。
多くの収入よりも、自分らしさや自分の好きなことが出来る環境へのあこがれが、社会人になる前の大学生の中に顕著に表れているようです。
また、「起業に関心がある方だ」への回答は、男女ともに年齢が若いほど高い傾向が見え、高校生の独立心が高い事が分かります。
【図2】
多様性が尊重される職場環境を求めるUnder30
次に、Under30の働くことに関する考え方をみていきたいと思います。
働く職場への環境に対しては、「差別や偏見のない職場環境で働きたい」という回答が他の質問項目と比較しても高い回答率の傾向が見えました。年若い人ほど、多様性の尊重される職場を求めているようです。
働き方に関しては、多くのUnder30が仕事とプライベートの両立を望んでいることが「無理のない範囲で、仕事とプライベートを両立して働きたい」の回答からわかります。2007年に内閣府が仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章を定めています。ワークライフバランスとは、働くすべての人々が『仕事』と育児や介護、学びや趣味、休養、地域活動といった『仕事以外の生活』との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことであり、この言葉の誕生と共に成長してきたUnder30には、「ワークライフバランス」が目指すべき働き方としてインプットされているのかもしれません。そして、この「ワークライフバランス」の考え方の浸透が、「出世よりも自身が望む働き方を重視したい」にも影響をしているかもしれません。有職者になると出世よりも自身の働き方を優先したいという傾向が出ており、実際に仕事をして現場を体験体感することで出世、つまりマネジメント職務を敬遠する層が出てきているようです。
最後に、副業についての考え方を確認していきましょう。興味深いことに、学生(高校生・大学生)と有職者(23歳以上)で副業に対する考え方の傾向が異なる様に見えます。副業に「本業以外での収入を得たい」と考えているのは、男女ともに有職者(23歳以上)が多い傾向を示しています。自身の給与所得以外の収益を得る為の手段として、副業に対しても前向きな層が約半数いる事が分かります。
また、会社員になることで「知見や経験を得るために副業を行いたい」と意識する層が増えてくるようです。自身のキャリアをスタートさせて現実を把握し、今後を考えていく中で、知見や経験をより多く積む手段として副業という手段も検討に入ってくるといってよいのではないでしょうか。Under30の人々にとって、副業は身近に考えられる収入増とキャリア構築のための手段として捉えられているように見えます。
労働力の不足から、採用を強化している企業も多いことかと思います。採用を強化すると共に、自社の強みとして働き方の柔軟な発想や仕事の仕方、そして多様性を尊重する、そんな環境を整えることが、若い労働力を引き付ける魅力のひとつになりそうです。
【図3】
他の調査は、こちらからご覧になれます▶生活者意識調査
調査地域:全国
調査対象者:男女16~84歳のT会員
有効回答数:11,033サンプル
調査期間:2022年6月23日(木)~2022年6月30日(木)
質問数:全22問
<質問項目>
・健康状態と活動
・生活価値観/就労意識/購買意識
・不安と期待
・情報源
・興味関心事項
・より便利になってほしいもの
・各行動の実施人数
・世の中の話題と自分の関心
<属性項目>性別、年代、居住都道府県、同居者、職業、未婚者、住居形態、世帯年収、1か月に自由に使えるお金
【集計内容】
・性年代別クロス集計
【注意事項】
・集計は日本の性年代人口構成比に合わせて調整しています。
・集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。
【商品名/番号】
品名:年代別意識調査 (2022年6月)
番号:22-008-002
【価格】
集計一式:90,000円(税別)
※Under30(ステージ別4区分)のみを対象にした集計表は、63,000円(税別)
【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所
担当:杉浦・斎藤
cccmk-souken@ccc.co.jp
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