【生活者意識調査】秋は「読書の秋」 好きなジャンルが読書スタイルを決める
- 2020.10.21
- 生活者意識調査
withコロナの秋、皆さんは「読書」してますか?
「秋」といえば‥
気候もすっかり涼しくなってきて「秋」を迎えた感じがありますね。秋という季節は、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、行楽の秋などいろいろな表現がなされますが、その中で「読書の秋」というのもよく使われる言葉です。
そこで今回は「読書」をテーマに取り上げ、生活者の皆さんが好きな本のジャンルや、それによる読書の傾向や価値観、さらには新型コロナウイルス感染症が読書という行動や習慣に与えた影響など、「読書」にまつわるいろいろな切り口を掘り下げてみたいと思います。
※本コラムの内容は、T会員の皆様を対象に9月中旬に実施したアンケート結果から作成しております。アンケート概要は、本ページの最下段の記載をご覧ください。
みんなが「読書」にかける時間は? ”読書家”と呼べるのはどんな人?
まず最初に、読書に充てる「時間」について見ていきたいと思います。図1の左の円グラフは「1週間のうち読書に充てる時間」の集計となります。
週に7時間以上(=1日あたり1時間以上)という方が13.4%、週に3時間以上(=概ね1日あたり30分以上)という方が33.2%という結果でした。逆に、ほとんど/全く読まないという方も26.0%おり、読書量にはかなりのばらつきがあることがわかります。ちなみに、ほとんど/全く読まないという方を除いた読書時間の平均は4.15時間(1日あたり約35分)でした。
図1の右上と右下のグラフはそれを属性別(右上:性・年代別、右下:最もよく読むジャンル別)にブレイクダウンしたものです。性・年代別のグラフを見ると、男女とも年代が高いほど読書時間が長い傾向がはっきりとうかがえます。男性60代や女性50・60代では週あたりの読書時間が5時間に迫るのに対し、女性20代では3時間を切っています。ちなみに、別の設問で読書好意度(グラフは割愛)を質問しているのですが、女性20代では60.4%(とても好き+まあ好きの計)と、全体平均の57.4%を上回って高い好意度でした。つまり、読書に対する好意度と、実際にかける時間は比例していないということがわかります。
図1の右下のグラフでは、最もよく読むジャンル別に読書時間を集計していますが、こちらはジャンルごとのスコアの差が比較的大きく出ています。最も長時間読書をしているのは「SF・ファンタジー」好意者で平均の読書時間は6.31時間/週と、1日1時間に迫る長さでした。次いで、「人文」「小説」「ノンフィクション」が5時間台で続きます。一方で「コミック」(別の設問より若年層に好意者が多いことがわかっています)は平均3.92時間と、平均(4.15時間)を下回ったほか、「実用」「雑学・教養」「趣味」などは2~3時間と短めの読書時間であることがわかりました。
読書に費やす時間は、性別や年代だけでなく、むしろ好きなジャンルによって大きく差が生まれていると見ることができそうです。
読書に対する価値観もジャンルと密接な関係が
続いて、読書に対する価値観を読み解いてみたいと思います。図2は読書に対する価値観として聴取した15個の項目への反応について、最もよく読むジャンル別にクロス集計したものを、コレスポンデンス分析に掛けたアウトプットです。
【図2】
先ほど、平均の読書時間が長いジャンルとして挙げられた「SF・ファンタジー」や「小説」はともに原点から右上の方向にプロットされており、「ストレス解消に役立つ」や「時間つぶしに丁度よい」といった価値観と近いことがわかります。同じ方向には「誰でも楽しめる趣味」があり、ジャンル「コミック」もその近くにプロットされています。この辺りからは、読書が『気軽にのめり込める趣味』として認識され、「SF・ファンタジー」「小説」「コミック」といったジャンルがその対象として認識されていることがうかがえます。
一方で、プロット図の左の方に目を向けると、「流行を知るため」「人との話題作りのため」「質の高い情報が得られる」といった価値観が集まっており、『情報収集やキャッチアップのための読書』というグループが形作られていると言えそうです。これらは、価値観というよりも読書をする”目的”と言い換えてもいいかもしれませんね。この同じ方向にプロットされているジャンルには「ビジネス」「雑学・教養」「趣味」「芸術」などがあり、先ほど平均の読書時間が短いジャンルとしてご紹介したものが多く含まれていることも興味深いポイントと言えるでしょう
また、プロット図の原点付近には「知識を身につけるのに最適な手段」「語彙力を養うのに役立つ」「想像力を養うのに役立つ」といった『知識や教養の促進』に類する価値観が集まりました。コレスポンデンス分析において原点付近に集まる要素は、「さしたる特徴がない、または、全てにあてはまる特徴を持っている」と言われますので、おそらく後者に該当しているものと考えられます。
このように、好きなジャンルと読書に対する価値観に密接な関連があるばかりでなく、読書時間の長さというスタイルとの関連性もうかがえるというのは興味深い結果であると感じます。またその中で、知識や教養の促進にはジャンルを問わないという点も読書の奥深さを示しているのかもしれません。
読書に対する価値観もジャンルと密接な関係が
最後に、”新しい生活様式”や”在宅時間の増加”といった、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)にまつわる環境変化が、読書やその習慣にどのような影響を与えたかを見ていきます。
図3の左上の円グラフは、1年前(アンケート中では「昨年の今ごろ」と表記)と比較して、読書時間が増えたかどうかを聞いた設問の回答です。「あまり変わらない」とする方が6割以上と多いですが、「増えた計」と「減った計」で比べると、読書時間が減ったという方が多いようです。
では、読書時間が増えた人、減った人において、それを「新型コロナの影響」と考えている人はどれくらいいるのでしょうか。それを集計したのが図3の左下のグラフです。これによると、読書時間が「増えた」とする人では、およそ4人に3人(74.7%)もの人が新型コロナの影響と考えているのに対し、読書時間が「減った」人では、新型コロナの影響と考える人はわずか34.3%にとどまっていました。
新型コロナの影響で読書時間が「減った」と考える人は、人数こそ比較的多くはなかったものの、その要因はしっかり見ておく必要があるでしょう。図3の右上および右下のグラフは、読書時間が減った理由と、読書をすることが減った場所を集計したものです。新型コロナの影響で減ったとする人のスコアを、減った人全体のスコアと比較すると、理由では「読書をよくする場所に行く機会が減ったから」がとびぬけて高いことがわかります。具体的な場所では「電車・バスなどの乗り物の中」「カフェなどの飲食店」など自宅以外の場所が軒並み高くなっています。やはり外出自粛・自宅待機の影響が大きく響き、普段外出先で読書を楽しんでいた人がその機会を失った結果が如実に表れていると言えそうです。
なお、新型コロナの影響で読書時間が「増えた」と考える人に、その要因を尋ねたところ「読書に充てる時間が増えたから」とする回答が75.7%と圧倒的多数でした。ただ、そのほかにも「タブレット端末やスマートフォンで手軽に読めるものが増えたから」という回答も15.7%あり、電子書籍の普及がコロナ禍での新たな読書習慣づくりに役立っている側面もうかがえる結果となりました。
今回は「読書」についてのアンケート結果をご紹介しました。秋の夜長は読書に最適と言われますが、秋という季節はとても短い季節でもあります。久しく読書をしていないという方、新型コロナの影響もあって読書をちょっとお休みしているという方、この季節にもう一度お気に入りの一冊を見つけてみてはいかがでしょうか。
【調査設計】
調査地域 :全国
調査対象者:男女・20~69歳
サンプル数:1915サンプル
調査期間 :2020年9月11日(金)~9月17日(木)
実査機関 :CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施)
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詳しくは、下記をご確認の上、お問い合わせください。
【調査内容】
質問数:全10問
内容:
・読書ジャンル(読むもの/よく読むもの/最もよく読むもの)
・読書好意度
・読書に充てる時間、1年前からの変化、増加/減少した理由
・読書をする場所、読書することが増加/減少した場所
・読書に対する価値観
・新型コロナウイルス感染症が読書時間に与えた影響度、その理由
【集計内容】
・単純集計
・性年代別クロス集計
・最もよく読むジャンル別クロス集計
【注意事項】
・クロス集計において、集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。
【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所
担当:服部/杉浦
cccmk-souken@ccc.co.jp