環境配慮は社会参加の第一歩か

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標の『SDGs』の認知も高まり、持続可能な社会を実現するために個人として出来ることを日頃から意識している生活者も増えてきているようです。
 日頃の生活の中で今ある環境を守り、維持し、限られた資源を有効に活用する事を目的とした3R(スリーアール)という言葉や活動を聞いたことがある方も多いでしょう。
3Rとは

 Reduce:廃棄物の発生抑制<ものを大切に使おう。ごみを減らそう>
 Reuse:製品・部品の再利用<繰り返し使おう>
 Recycle:再生資源の利用<再び資源として利用しよう>
の3つのRの略であり、毎年10月を「リデュース・リユース・リサイクル推進月間(略称:3R推進月間)」と関係8省庁※1が定め、3R推進に対する理解と協力を求める普及啓発活動を実施しています。
 今年も10月に実施される3R推進月間に合わせ、CCCマーケティング総合研究所が2022年6月23日(木)~6月30日(木)に実施した「2022年度 年代別意識調査」より、生活者の環境に対する意識に注目して見ていきたいと思います。

若者の環境問題意識は、2極化現象か
【図1】 環境問題 世代別 社会問題 関心度 生活者 SDGs 環境

最初に、世代別に環境問題や社会問題への関心度を見ていきましょう【図1】
全体で、関心高いと回答している人は39%、関心低いと回答している人20.7%のほぼ倍の値となっており、環境問題や社会問題への関心を寄せている生活者が一定数いる事が分かります。
 年代別では、年令層が高い60代以上と10代が全体と比較して関心度が高くなっています。続いて、関心度の低い層もみていきます。全体と比較し、関心度が低いと回答している割合が2割を超えるのは10代から50代となり特に20代と30代は、関心度の高い層と低い層が、近しい割合で存在している事がわかります。

このことから、20代、30代は同世代間で環境問題や社会問題について、関心度の2極化現象が起きているといえそうです。

 

個人的な関心は低いが、環境や社会に対する義務を理解している生活者の実像
【図2】
環境 社会 義務 自身の行動 問題
続いて、自身の行動に対して環境や社会への配慮が必要だと考えているかどうかを尋ねました【図2】。
すると、すべての世代で「行動をとるべき」であるという回答が、関心度の高さ(【図1】「関心高い(計)」の集計数を折れ線グラフで追加)を上回る結果となりました。

これは、多くの生活者が自身に課せられた義務を果たすことや、未来に向けて環境や社会をよいものに維持する事に対しては一定の理解を表わしていると言えそうです。

環境への関心も高く、配慮もしているシニア世代
【図3】
環境配慮 環境問題 シニア サスティナブル 意識

 次に、【図3】では、購入時に購入する商品やサービスがサスティナブルであること、環境に配慮されていることを購入時に意識しているかを尋ねています。
全体では、23.5%が意識していると回答しています。
反対に、意識していない層は30.2%にのぼり、生活者の購入時における環境配慮への意識浸透は拡大の余地がある状況であることがわかります。

 世代別では、全体と比較して20代~50代は意識していない層が多く、60代以上は意識している層が多くなります。これは、【図1】環境問題や社会問題への関心度と近しい動きになっており、60代以上のシニア世代は、関心もあり、購入時の行動も連動していると言えそうです。

約6割が「環境に配慮する」行動に、社会との関りを実感
【図4】
社会との関わり 募金 ボランティア 課外授業 関心
最後に、環境に配慮する行動は、生活者にどの様な心象を与えているのかを見ていきたいと思います。
【図4】では、社会との関りを感じる行動について尋ねています。
ここでは、「社会に関わっていると強く感じる」と「社会に関わっていると少し感じる」の合計値で見ていきたいと思います。

 最も社会との関わりを感じる行動は、選挙で投票するとなりました。この質問は18歳以上の有権者に聞いていますが対象者の70.5%が選挙に社会との関わりを感じています。ただし、投票率と比較すると認識はしていても行動に移せていない有権者の存在が改めて明確になります。
 次に、学生等に限定してい質問した「学校でのボランティア活動に参加する」が61.7%と続きます。
多くの高校就学者の学習要項に学びの探究活動が組み込まれており、中には地域活性化に向けた政策を考えたり、体験を交えながらSDGsの課題に取組んだりしているようです。この様な背景を考えると学びの場での活動が、社会を体感する場として有益であることがわかります。

 続いて「環境に配慮する」が続きます。
 59.6%が環境に配慮することで、社会との関りを実感すると回答しています。これは、日本の社会インフラの中でごみの収集・分別や、限られた資源を有効に活用する廃品回収といった地域社会との関係を基盤にした仕組みが整っている事も社会との関りを実感している要因といえそうです。

 
現在は、消費者同士でリユースを促進するフリマアプリや、オークションといった仕組みも整っています。新しい仕組みやサービスの出現により、個人でのリユースが進みリユースに対するイメージも大きく変化してきています。限られた資源を有効に活用する「もったいない」の気持ちを持って生活することで、無意識のうちに環境問題に貢献し、その結果、社会参画へ繋がるのであれば、そんな素敵な事はないのではないでしょうか。

 

※1関係8省庁:財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、消費者庁
※2経済産業省のホームページより「リデュース・リユース・リサイクル推進月間(略称:3R推進月間)」の詳細引用

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象者:男女16~84歳のT会員
有効回答数:11,033サンプル
調査期間:2022年6月23日(木)~2022年6月30日(木)
実査機関:CCCマーケティング株式会社(現CCCMKホールディングス株式会社)
調査方法:インターネット調査(Tリサーチ)
 
本調査の集計表を販売しております。
詳しくは、下記をご確認の上、お問い合わせください。

 



他の調査は、こちらからご覧になれます▶生活者意識調査


【調査内容】
質問数:全22問
<質問項目>
・健康状態と活動
・生活価値観/就労意識/購買意識
・不安と期待
・情報源
・興味関心事項
・より便利になってほしいもの
・各行動の実施人数
・世の中の話題と自分の関心
・社会とのかかわりを感じる場所 等
<属性項目>性別、年代、居住都道府県、同居者、職業、未婚者、住居形態、世帯年収、1か月に自由に使えるお金

【集計内容】
・性年代別クロス集計

【注意事項】
・集計は日本の性年代人口構成比に合わせて調整しています。
・集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。

【商品名/番号】
品名:年代意識調査 (2022年6月)
番号:22-008-002

【価格】
集計一式:90,000円(税別)

             
                                                                          


【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所 
担当:杉浦・斎藤
cccmk-souken@ccc.co.jp

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