【生活者意識調査】多くの人が控えた「夏の旅行やレジャー」 どれくらい控えた?どうして控えた?

2020年、withコロナの夏
~旅行やレジャーが受けた影響と生活者の意識とは~

大幅に減った「夏の旅行やレジャー」 行動や予算の変動には行き先による違いも‥

 新型コロナウイルス感染症の流行は、私たちの生活やビジネスのさまざまな方面に大きな影響を及ぼしていますが、中でも深刻な影響を受けている業種の一つに観光業があることは多くの方がご承知のことと思います。例年なら盛り上がりを見せるはずの「夏の旅行やレジャー」にも大きな影響がありました。今年は旅行やレジャーを控えられた方、近場で過ごすことにした方、逆にGoToキャンペーンを活用された方、さまざまいらっしゃることと思います。
 CCCMK総研では、特殊な状況となった今年の夏(7~9月)の旅行やレジャーに関する、新型コロナウイルス感染症による影響の実態や、生活者の意識についての調査(対象:全国の男女・20~69歳、計2518サンプル)を実施しました。
 なお、調査の実施時期は8月18日~24日と、7月頃からの感染拡大傾向が若干落ち着きを見せ始めた期間ではありましたが、結果はやはり新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く映し出したものとなりました

 まずはじめに、実際に行った(または具体的な計画がある)旅行やレジャーについて今年と昨年の比較をご紹介します

【 図1 】
実際に行った、または具体的な計画がある旅行やレジャー

 図1のグラフからは、旅行やレジャーが大幅に減っている中でも、その内容(行き先)によって減少の度合いが大きく異なっていることがお分かりいただけると思います。「帰省」はほぼ半減。旅行も「日帰り~1泊」は半減程度にとどまっていますが、「2泊以上」は約4分の1にまで減少しています。「海外旅行」に至っては言うに及ばずといったところでしょうか。
 山・海といった自然系のレジャーは半分程度の減少にとどまっていますが、テーマパーク・スポーツ観戦は大幅減。フェス・ライブ、お祭り、花火大会などのイベントが軒並み中止になったことも響き、数字は大幅に減少しています。

【 図2】
それぞれの旅行やレジャーに費やした金額(総額)

 続いて、図2は主要な旅行・レジャーについて、それに行った人が掛けた予算(総額)の前年比較を示したものです。
 こちらで興味深いのは、国内旅行(日帰り・1泊・2泊以上)がいずれも前年比1割ほどの増減で大きな変化はないのに対して、帰省での消費金額が前年より4割も減っている点ではないでしょうか。帰省先が比較的近場の人は今年も帰省した一方で、遠くの人ほどリスクを考慮して帰省を控えた可能性が考えられます。また、訪問先を減らしたために手土産にかける予算が減った、といった影響もあるかもしれません。
 また、テーマパークやスポーツ観戦にかけた金額も前年の7割程度にとどまっていることが分かります。こちらも近場のレジャーに切り替える傾向があったと見受けられますが、その場合、予算減の影響はチケット代よりもむしろ交通費の方に大きく出ていると言えるかもしれませんね。

帰省は、行く側・迎える側の想いが一致しての大幅減。では、他の行き先は?

【 図3 】
前年行った旅行・レジャー先に、今年は行かなかった理由

 続いては、旅行やレジャーに「行かなかった理由」について、新型コロナウイルス感染症がどのような影響を与えていたのかを見ていきます。図3は、「前年行った旅行・レジャー先に今年は行かなかった」という人にその理由をうかがい、行き先別に集計したものです。
 こちらの図からは、行き先によってその理由の傾向に違いがあることが見て取れますが、中でもやはり「帰省」が最も特徴的な傾向を示しているといえそうです。「ウイルスを持ち込んでしまう恐れへの配慮」と、「訪問先からの要請(来ないでほしい)」という、行く側・迎える側の双方の想いの結果として帰省が減ったことがうかがえます。
 また、国内旅行は「不特定多数の人が集まる場所での感染リスク」と「行政の呼びかけ」が効いていたようです。
 海外旅行については、「飛行機が飛ばないから」といった不可抗力による理由を挙げた人は3割程度にとどまりました。むしろ「訪問先の感染拡大防止対策や医療体制への不安」や「感染地域からの旅行客とみなされるのが嫌」といったさまざまな意識がブレーキになった様子が見て取れます。
 そのほか、自然環境の中で『密』を避けられそうなイメージのある山のレジャーでは「自分が感染する恐れ」は比較的低かったものの、「訪問先の感染拡大防止対策」には若干の不安があったようです。また、テーマパークなどのレジャー施設は 「不特定多数の集まる場所での感染リスク」に加え、「行っても普段通りに楽しめない」ことも理由として挙げられました。

 今回のコラムでは、新型コロナウイルス感染症の流行が「夏の旅行やレジャー」に与えた影響について、行動自体の減少や予算の変化といった量的な実態と理由をご紹介しました。
 今回の調査では、「夏の旅行やレジャー」への生活者の意識・ホンネに関する質問も多く行っております。それらについては続編として近日中にお届けする予定です。どうぞお楽しみに。

【調査設計】
調査地域 :全国
調査対象者:男女・20~69歳
サンプル数:2518サンプル
      内訳:基本サンプル2013、追加サンプル(小学生の子を持つ親  )505
調査期間 :2020年8月18日(火)~8月24日(月)
実査機関 :CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施



 
【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所 
担当:服部 / 杉浦         
cccmk-souken@ccc.co.jp